鳥濱氏庭園

江戸時代、鹿児島を治めた薩摩藩島津氏は藩内各地に防衛の拠点である「麓（ふもと）」と呼ばれる武士集団を住まわせた地域を110ヶ所も設けていた。志布志麓もその一つで残された幾つかの武家屋敷に庭園が残されている。現在、志布志市文化財課が所有者と話し合い整備可能で貴重性の高い順に着々と整備を始めている。多くの武家屋敷と庭園が荒廃しており観光客の視点ではかなり悲しい状況だが、志布志市の武家屋敷庭園群の整備はまだ始まったばかり。今後の整備に期待しよう。
明治の武家屋敷と庭園です。明治時代に行われた道路拡幅工事により庭がある東面と北面の敷地が削られ、築山の背後が削られてしまった為に邸との空間が狭くなってしまい圧迫感と違和感を覚えますが、この鳥濱氏庭園は江戸時代における薩摩藩武家屋敷の庭園様式を伝える貴重な枯山水庭です。
狭いながらも回遊式となっており築山に登れます、その背後に隠されるように紙垂（しで）が立てられた屋敷神を祀る場所があるのが印象的です。
薩摩の庭には築山などの高い場所に屋敷神を祀る場所が必ずありますが、石の祠を置く地域や志布志のように垂紙のみを立てる地域などそれぞれ違いがあるようです。
鳥濱氏庭園のだいたいの場所は直ぐに分かるのですが、庭園の詳細が分かるような案内が無い為、事前に下調べをしていないと、直感的にどこがどういう庭なのかが分かりませんでした。
とにかく庭木が繁茂しすぎて庭の全体が把握できないのが残念、お世辞にも手入れが十分に行き届いているとは言えません、観光資源として見せる工夫がもう少し欲しいところですね。
志布志市の文化財課によればこの鳥濱氏庭園も将来的には庭木を小さく戻すなどの作業を経て復元していく方針とのことです、今後に期待したいですね。
（2019年1月23日）

なんで貴重な遺産を放置しているのだろう。と、2年前に書かれたクチコミを拝見して思いました。整備が始まったとありましたが、どこをどう整備すればこうなるのか。既に文化庁の登録記念物に値するかどうか。コロナ禍で財政もままならないのは分かります。が、あまりにも悲しい・・・